なんだかすごい。グローバリズムに対する日本の国家戦略 [お会いした人]
11月13日午後『知的財産フォーラム』に行って来ました。内閣官房知的財産戦略推進事務局長の荒井寿光氏(『知財革命』角川ONEテーマ21の著者)の講演を聴いてきました。
※知的財産権=産業財産権(特許、実用新案、意匠、商標)+著作権等
今、日本は国際競争を勝ち抜くために、知財立国をめざしていることがわかりました。
現在政府の方針は、知財活用を次のように考えているようです。
①目に見えない形のないものを「JAPAN」ブランドとして形成する
②それを輸出する
③それを消費してもらう
例えば、日本食。なかでも「寿司」は、現在すでに世界60億人のうち6億人(うち1億が日本人)が食べている「JAPAN」ブランドの一つだそうです。
つまり、他国と差別化ができ、かつ信用が高まり、さらに付加価値がつき高く売れればなおさらよしということです。その際の法的根拠や法的保護の役割を果たすのが「知的財産基本法(立法)」「知的財産高等裁判所(司法)」「知的財産戦略本部(行政)」という国家の推進体制です。
しかも、たぶん荒井氏は農林水産物を知的財産の眠れる宝と考えているようです。各地の地場産品の発掘とブランディングを優先的にしていきたいという感じでした。例えば、富山県においては「氷見はとむぎ茶」「黒部米」「入善ジャンボ西瓜」「富山名産昆布巻きかまぼこ」「とやま牛」「とやま和牛」がすでに出願中だそうです。
しかし、この背景にはアメリカの農産物の輸入の圧力があるように思いました(盛田の私見)。例えば、コメを例にとれば国境価格(国境をなくした場合のまんまの価格)はアメリカ米の方が圧倒的に安いのが現状です。日本はこのアメリカ米の国境価格に関税をかけて関税額を足して、日本の国境価格より高くしています。だたし、アメリカはその関税率を現行の10分の1にするよう提案しているようです。そうすれば、アメリカの価格が日本の価格を下回ることになります。これは、コメに限らず、小麦、大麦、砂糖、乳製品も同様です。
したがって、この対抗手段が「JAPAN」ブランドとなるわけです。そして政府は原材料よりも加工品に目をつけています。なぜならば、日本人は勤勉な国民だからです。しかも、単に勤勉なだけでなく、他の国民よりも自分自身で考え創作していく能力があると仮定しているからです。原材料はもうあきめて、むしろ加工品で勝負しようとしているんだと思います。
その最初の一歩が、今年4月の商標法の一部改正による「地域団体商標制度」の導入です。すなわち、(地域名)+(商品又はサービス名)を商標権登録を受けられるようになりました。
世界を目指す前に、まず地域からブランディングによる競争力を高めていこうという戦略のようです。
さすが、頭のいい人の考えることはスケールもでかい。けど、このリスクは誰が背負うのだろう。
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