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カオス [キャリア理論]

『新版 キャリアの心理学』「第十章 新しい潮流」を参考にしながら…

「生きている」システムは要素に分解して理解することができない。なぜならば、同じ要素でも全体の文脈のなかでその振る舞いが変化し、それによってまた全体が変化するという循環的な仕組みになっているから。

しかし、不規則な現象のなかにも無数の規則に従っているものがある。そのでたらめさと独特なパターンから秩序を導き出そうというのがカオス理論である。

カオスには特有のモデルある。アトラクタという。それは、何かを引きつけたり吸い寄せたりすることを意味する。また、それは4つある。
①点アトラクタ=一点に収束する動き
②周期アトラクタ=連続的に繰り返す動き
③トーラスアトラクタ=2つ以上の周期運動が合成された場合の動き
④ストレンジアトラクタ=トーラスアトラクタが崩れて奇妙な形に吸い寄せられる動き
○すべての力学上の動きは、トーラスアトラクタに落ち着く。カオスは、ストレンジアトラクタのことであり誰にもその本質はわからない。

この理論を参考にすれば、キャリアカウンセリングは人や環境より、むしろひとつひとつの出来事を重視する。つまり、ミクロレベルのストレンジアトラクタからマクロレベルのトーラスアトラクタを探る。

また、カオス理論では、入力変数のわずかな変化が、出力に劇的な変化をもたらし得るといわれる。最初のわずかな違いがまったく違う結論を導き出す。したがって、日々の生活のなかのでのわずかな違いが、私たちの将来を左右する。

ささやな行動の変化こそが、全体の文脈にさまざまな影響を与え、逆に自らの大きな変化となって帰ってくる。実は、キャリアとは日々の生活のわずかな違いであって、それをおろそかにせず過ごすことがキャリア開発であり、将来を切り開くことではないだろうか。
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サビカス [キャリア理論]

『新版 キャリアの心理学』「第九章 マーク・サビカス」を参考にしながら…

サビカスは、スーパーが1994年に逝去した後、その理論を引き継いだキャリアカウンセリングの理論家かつ実践家である。ちなみにだが、ホランドの指導も受けている。現在、サビカスの理論はアメリカのみならずヨーロッパの各国においても、キャリアカウンセリングの中心的理論として受け入れられつつあるらしい。

まず、サビカスはキャリアを「意味を運ぶもの、あるいはそのプロセス。」と考える。
①過去や現在の経験をふりかえって捉え直す
②その経験に新たな意味を与えて主観的に事実を再構成する
③それを将来の展望へ繋げる
具体的には、クライアントが自らのキャリア(ストーリー)を語ることを通して、「物語的真実」(=意味)を作り出すことである。

サビカスの理論の主要概念は三つ。
①個性(What=何をしたいか)興味・価値観・能力の不一致は変化を促し一致は行動の安定を促す
  ※興味は変化する。だから安定した特性でない。したがって、他より優位とみなすべきでない
②適応(How=どういうふうにしたいか)機動性を常態としたレディネス(準備)及びリソース(手段)
③動機(Why=なぜその行動をとるのか)意味や方向性を与える解釈

そのなかの②は、サビカスのキイ概念である。それを「キャリアアダプタビリティ」とよぶ。舌を噛みそうな言葉だが、サビカスは「アダプタビリティ」に内在する「みずから変わることによって適切な状況をつくる」「目的をもって変化する」「個人と環境の相互作用により変わる」というニュアンスに確かな手応えを感じている。

「キャリアアダプタビリティ」は…
①関心            ①計画的             ①計画能力
②統制   の四つが   ②決断的   という態度で  ②意思決定能力  を駆使すること
③好奇心          ③探究的              ③探索能力     
④自信            ④効力的             ④問題解決能力

すなわち、態度や能力を予め向上させておくことが求められている、という。特に④自信は、試みることで得られる成果の予期のことである。職業選択には、どうしても前向きさが必要である。なぜなら、後ろ向きの人はいくら能力があっても採用されないが、能力のない人は前向きであれば採用され得る。④自信は、①②③を鍛えることでもたらすことが可能である。余談だが、キャリア教育はこの四つを鍛えるものである。

まとめると、“自分の経験を語れる”(ナラティブに似ている?)ことと“備えを常に”(ボーイスカウトの合い言葉)ということか[猫]
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ハンセン [キャリア理論]

『新版 キャリアの心理学』「第八章 サニィ・ハンセン」を参考にしながら…

ハンセンのキャリアへのアプローチは、ひと言でいうとすれば“社会性”ではないだろうか。他のキャリア理論は、「発達」「学習」「(組織)心理」から発想しているが、ハンセンは「地域(コミュニティ)」「国」「地球」からキャリアを考える。

ハンセンは「統合的ライフプラン」という概念を提示している。それは、個人と家庭と社会との結合性にテーマにしている。それを説明する上で『キルト=小さな布を縫い合わせながら大きな布を作っていく方法』を象徴として用いている。

例えば、個人には「仕事」「家庭(子育て)」「学習」「余暇」の四つの布があるとし、この四つの布に社会という布を縫い合わせよ、という。

その際の課題は六つ。
①状況を変化させるためになすべき仕事を探す(自分に合う仕事を探すという発想ではなく)
②人生を意味ある全体像のなかに織り込む(仕事や職場にない人間の役割に焦点を合わせる)
③家庭と仕事の間を結ぶ(男女平等、パートナーとして協力する)
④多元性と包括性を大切にする(違いを理解し、さまざさな視点からものを見る)
⑤個人の転機と組織の変革に共に対処する(個人、家庭、組織が変化の担い手になる)
⑥人生の目的、意味を探究する(宗教的な意味でなく、自分自身の意味を理解する)

このように、ハンセンは個のキャリアを社会全体を良くしていくプロセスの一つとして位置づけている。このような各々が社会に貢献できる場を見つけるというプロセスは、視野を広げ、ものごとを大きく見る大切さを再認識させてくれる。

う~む。NPO的というか、社会起業家的というか、CSR的というか、PA的というか、なんていうか[猫]
ところで、PAって何?
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ホール [キャリア理論]

『新版 キャリアの心理学』「第七章 ダグラス・ホール」を参考にしながら…

ホールは人事戦略の分野で企業コンサルも行うキャリアの研究者である。ホールは、キャリアとは「他者との関係のなかで形成していくものである。それは、依存的でもなく、独立的でもなくして、相互作用的な人間関係のなかで築いていくものである。」と主張する。

ホールのいうキャリアには、自己志向的で変幻自在、自律的というより他者との関係を大事にしていく感じがある。また、他者評価よりも自己評価(心理的満足)を重視する。つまり、他者からの尊敬ではなく、自分自身で自分(自我が自己)を尊敬できるかどうかである。それは、自尊心や誇りをもっているかどうかでもある。なぜなら、自尊心があれば、否定的な気づきに脅かされることなく、むしろ逆に自己への気づきが高まり、より適切なキャリア選択ができるからである。

しかし、このような自己評価ができるためには、次の自己認知能力が必要であるという。
①興味・能力・価値観の気づきの程度
②過去・現在・未来の自己概念の統合の程度

さらに、それを複数の役割に分けて考える。自己評価は、単純に一つではないのだ。例えば…
①職業人として
②父親として
③夫として
④町内の住人として
⑤PTAの役員として(?)
⑥草野球の選手として(??)

もちろん、これらの優先順位や占める割合は個人によって異なる[猫]
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シュロスバーグ [キャリア理論]

『新版 キャリアの心理学』「第六章 ナンシィ・シュロスバーグ」を参考にしながら…

シュロスバーグは、アメリカを代表するのキャリアカウンセリングの理論家であり実践家である。

多くのキャリア理論は、職業人生を時間軸上の連続として捉える。しかし、シュロスバーグはキャリアを出来事として捉える。それが大きな違いだ。例えば、転職、失業、引越、結婚、離婚、本人や家族の病気などのような出来事に注目する。そして、そのひとつひとつの出来事を乗り越えるための支援がキャリアカウンセリングであるという。つまり、年齢よりもどのような出来事を今むかえているかに注目する。

出来事のなかでも、特に期待していた出来事が起きなかったときの対処方法に詳しい。例えば、「高校卒業を控えた最上級生」「新婚者」「子どもをもつ中年夫婦」には、「学校を卒業後就職するはずができなかった」「結婚したが思いと違う」「子どもが成人しても仕事に就けない」など、思ってもいなかった出来事(ノンイベント)に直面することがある。しかも、それは、自分の役割、人間関係、日常生活、考え方を変えてしまうほどの大きなものであったりする。

で、どう [イベント][右斜め下][右斜め上][右斜め下][右斜め上] に対処するか?

それは出来事そのものではなく、出来事をどう受け取り、努力と生活のバランスをどうとっていくかという問題であるという。

出来事を受け取るには認知的努力を要する。まず、出来事のどの段階にいるかを見極める。つまり、最初(喪失や否認)~最中(不均衡と混乱)~最後(嘆き、受容)のどの位置にいるかを知ることである。次は行動的努力である。その際に次の“4つのS”といわれるアセスメントツールを使う。

①状況(何がその出来事をもたらしたか/一時的か長く続くものか/自分で変えられるか…)
②自己(楽観視できるか/自分自身をコントロールできるか/努力で結果に影響を与えられるか…)
③周囲の援助(周囲に乗り越えるための好意、肯定、助力はあるか/親/友人/組織/団体…)
④戦略(複数の戦略をもっているか、柔軟に使えるか/出来事を変化させるように試みているか…)

この①~④で、出来事を冷静に見定め、点検し、行動し、対処していけば、次第に出来事を生活の一部に統合することは可能であるとしている[猫]
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シャイン [キャリア理論]

『新版 キャリアの心理学』「第五章 エドガー・シャイン」を参考にしながら…

シャインは「組織心理学」という言葉の生み親であり、経営学の特に組織開発の専門家だった。個人の職業人生を会社(組織)側からアプローチしたが挫折して、個人の側へ視点を転換した人である。いいかえれば、外的キャリア(昇進、職務拡大、組織の核化)より内的キャリア(主観的な感覚)を重視する。その内的キャリアに役立つのが「キャリア・アンカー」という分類方法である。

また、「キャリア・アンカー」と対をなすのが「キャリア・サバイバル」である。こちらは、職務や役割のなかの対人関係面の分析である。主観的ではなく、客観的かつ具体的な仕事を分析し調整する。これは、ジョブ・コーチが行う「課題分析」に似ている。ちなみに、「課題分析」は、①行動連鎖(時系列的/行動単位)と学習課題(必要な技能/学習段階)を分析、調整する。

シャインは人生を3つに分けて考えている。
①個人(生物学発達)
②家族(結婚、子どもの成長)
③仕事(狭義のキャリア)
そして、年齢とこの①~③の重なり合いをグラフにしている。

これが意外と面白い。なぜなら、生涯内困難度(ストレス量)がわかる。あくまでも目安らしいが、例えば①中年期の危機と②子どもの成長が連動してひとつのピークを急激に迎える。さらに、それと③キャリアの在職権の獲得期がピークを迎えつつある時期と重なる。しかも、①②③の総和は最高。

親掛かりの若者と接する機会が多い私としては、その情景が目に浮かぶようだ。う~む、と唸ってしまう。この時期をなんとか当事者や支援者みんなで乗り越えて、この機会を成長のチャンスにしたいものである[手(グー)]
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ジェラット [キャリア理論]

『新版 キャリアの心理学』「第四章 ハリィ・ジェラット」を参考にしながら…

意思決定は、誰にでも起こり、誰もが自分自身で行うものである。日々起こる小さな意思決定も就職や転職という大きな意思決定も、そのノウハウは効果を発揮する。

しかし、従来の意思決定のノウハウ(例えば、目標設定-情報収集-可能な選択肢-決定の評価と選択)は、時代遅れというわけではないが、もはや効果的でない。未来の予測が不可能な現代において、意思決定はむしろ意味を創造する過程となった。

それを公式にしてみると…

 予測システム × 価値システム =意味創造
(結果の可能性)  (結果の望ましさ)

※この場合のキャリアカウンセリングは、クライアントの主観的な思いこみで狭められた結果の可能性や望ましさをより広げることを中心に、一緒にアイデアを出し合うための介入である。
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クルンボルツ [キャリア理論]

『新版 キャリアの心理学』「第三章 ジョン・クルンボルツ」を参考にしながら…

クルンボルツ(教育学・心理学教授)のいうキャリアカウンセリングの目的は、「クライアントの“新しい学習”を促進させること」である。

ここでいう学習とは、「ある経験によって、新しい行動を獲得したり、今までとは異なる行動ができるようになること」である。行動の学習は、他人の行動を観察してそれをまねることである。これを、観察学習(モデリング)という。

モデリングの過程は、三つ。
①注意…無数の情報からどれかに注目する(モデルやその行動のうち経験や嗜好をもとに選ぶ)
②保持…記憶にとどめる(映像化→言語化→再演化)
③行動…記憶を手がかりに行動する。行動後は自分の行動をモデリング。それをもとに修正。

しかし、①注意~②保持までを習得(つまり、モデル刺激を正確に保持し、それを再生)しても、③行動しないことがよ~くある。

その原因は、四つ。
①モデル刺激の選択が適切でない
②モデル刺激の記憶が適切でない
③モデル刺激の選択と記憶が適切であっても、必要なスキルが欠如している
④行動の先行要因が充分でない

行動の先行要因は、二つ。
①結果予期…自分の行動がどのような結果をもたらすかという予測
②効力予期…自分が適切な行動をうまくできるかどうかという予測

つまり、人は行動の前に予測をする。その予測が自分にとって好ましい結果をもたらす、あるいはうまくできるときは行動を遂行する。しかし、それがそうでない(-)ときは、行動は遂行されない。あるいは遅延される。では、この(-)はどこからくるのか? 

その情報源は、四つ。
①達成経験(できた×できなかった)
②代理経験(あいつもできた×あいつもできなかった)
③言語的説得(言葉による反復「あなたはできる」×「あなたはできない」)
④情動喚起(あのときできた感じ×あのときできなかった感じ)

これらひとつひとつ出来事や経験を情報として取り出す。それをもとに行動したり、しなかったりする。また、個々人はそういう出来事や経験をひとつひとつではなく総括した結論をもっている。その総括した結論が(-)だと行動を消去したり、遅延したりする。

このような場合、観察学習のプロセスにはキャリアカカウンセラーの介入が必要である。そして、そこで「新しい行動を獲得したり、行動を変化させること」を促進する。そうすることで、変化し続ける環境に適応していくことができると、クルンボルツは考えている。

従来のキャリア理論は、「意思決定の必要性」や「個人の特性と職業の特性の一致」を重視してきた。ところが、クルンボルツは「予期せぬ出来事がキャリアの機会に結びつく」という概念を提唱している。つまり、偶発的な出来事をみずからの主体性や努力によってキャリアに最大限に活用していく戦略を強調している。

では、どうすれば偶発的な出来事をみずからのキャリアに活用していくことができるのか? それは、自らの事例やいくつかの事例を紹介しているだけのようだ。そのあたりに物足りなさを感じる。しかし、それでも私はどうもクルンボルツの理論が一番好きみたい…だ。
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発達観 [キャリア理論]


キャリアの心理学 新版―キャリア支援への発達的アプローチ


そもそも、「キャリア」の概念を持ちだしたのは心理学者。
特に、生涯発達心理学と組織心理学の関心事であった。

“序章”渡辺美枝子氏(筑波大学特任教授、キャリア支援室長)より抜粋


「キャリア」の概念を自覚(学習)した人とそうでない人とでは、職業人生の意味が変わるだろう。

例えば、富山県立大学では「キャリア形成論」という必修科目がある。それは、1年~4年まである。
大学は、教養科目と専門科目、そして第三の分野としてキャリア形成科目をしかと位置づけている。
因みに、富山県立大学はほぼ就職率100%(独立起業する人がいて下がる年もあるが…)である。

「キャリア」はもともと「発達」の概念から始まる。では、「発達」とは何やねん?

 発達とは、時間的経過にともなう変化である。

なら、私たちはそれをどのように考えているんやろ?(これを「発達観」という)

私の場合は、「発達」というものを
①可能性とその制約の追究
②獲得(成長)と喪失(衰退)
③社会的条件とその推移の影響そのもの   などと考える。

どうも「発達観」に自覚的であるほうがよりよい「キャリア」を歩むことができるらしいぞい
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