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学習 [発達障害のこと]

発達障害 境界に立つ若者たち (平凡社新書)こんな本を買いました。

『発達障害 境界に立つ若者たち』
(山下成司著 2009年6月 平凡社)

学校法人として認可されない無認可学習施設は、通常フリースクールや塾といわれる(のだろう)。しかし、そういう学習施設でも高卒資格を与えることができる。いわゆる、「広域通信制」の学習センターといわれるところがそうである。

本書の著者は、そういうところで講師として働いていた。本書は、その卒業生6名のインタビューからなる。インタビューの対象は、一見、ふつうの若者である。しかし、計算ができない、読み書きができない、人とうまく関われないなどの困難(=「発達障害」)をもつ若者である。

「発達障害」を扱った本は多い。しかし、実際は教育の側からのものがほとんどだ。したがって、その対象は主に18歳以下である。その点、本書は高校卒業・後の若者を描いている。そこが新鮮だ。

また、この本のおかげで、「発達障害」の学習障害といわれるものがどんなものか、少し理解できた、ような気がする。
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深刻 [発達障害のこと]

アスペルガー症候群 (幻冬舎新書 お 6-2)
パーソナリティ障害―いかに接し、どう克服するか (PHP新書)こんな本を買いました。
『アスペルガー症候群』
(岡田尊司著 2009年9月 幻冬舎)

『パーソナリティ障害』
(岡田尊司著 2004年7月 PHP研究所)

この二冊のいいところは、パーソナリティ(性格)で、ほどよく分類してあるところである。前者は、7。後者は、10でタイプに分けてある。しかも、同じ著者なので、両者の関係、というか整合性を重ねながら考えることができる。

ちなみに、このようになっている(人格障害は先、発達障害は後)。
①回避性①回避性
②依存性  
③強迫性②強迫性
④妄想性③妄想性 
⑤シゾイド④シゾイド  
⑥失調性⑤スキゾ
⑦演技性    
⑧自己愛性⑥自己愛性
⑨境界性⑦境界性
⑩反社会性

また、著者の文章がわかりやすい。まず、読みやすいリズムになっている。書かれている内容は結構深刻なんだけど、そういう感じを抱かせない。あと、読んでいると文章の流れでわかるようなことまで親切に言葉にしてくれているので助かる。
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発達 [発達障害のこと]

自閉症のDIR治療プログラムこんな本を買いました。
『自閉症のDIR治療プログラム』
(S・グリーンスパン S・ウィーダー著 2009年9月 創元社)

発達障害あるいは自閉症スペクトラム圏内にある人の就労支援を考える場合、ABAや構造化の手法を用いることは広く知られていたし、実践もされているようだ。しかし、本書で扱っている<DIR>は、今のところ日本ではほとんど知られていないようだし、実践例もないようだ。

本書の翻訳者である広瀬氏が『アスペルガー症候群 治療の現場から』で、<DIR>について書いており、それを読んで本書の出版を知った。しかし、どんなモノかわからなかったし、買うかどうかも決めかねていた。と、言うのも本書は5,040円(税込み)なのである。。。(汗)
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味方 [発達障害のこと]

発達障害だって大丈夫―自閉症の子を育てる幸せ『発達障害だって大丈夫』(堀田あけみ著 2007年1月 河出書房新社)

自閉症の子をもつ母親であり、作家であり、心理学者(発達・教育心理学者)である著者の子育て論(物語)。

「発達障害の個人差は、大変大きなものです。遅れている分には、あまり心配は要りません。ただ、順序が正しくないときは、脳の機能の障害という可能性が出てきます。発達障害は、英語で言うとdevelopmental disorder、順序(order)が違う(dis)ということ…」(P38)

たとえば、聞く・話すは読む・書くに先立つ。したがって、読む・書くは、聞く・話す確立を待って発達し始める。それが、正常。

つまり、まだ聞く・話すが正常に稼働していないうちに、読む・書くが先行してしまうと、その分を埋め合わせるように読む・書くが稼働してしまい、結果“変な”行動が生じる。

あと、面白いのは障害児をもつ親として、敵を減らすより味方を増やす“方針”らしい。

つまり、障害をもつ人は困難を抱えている。これは仕方ない。じゃあ、どうするか。可愛がられること。嫌われたら、どんどん人は離れていってしまう。

それは障害者だから大事にしてほしいということではなく、ひとりの人間として好きになってもらえるように、ということである。確かに、これは大事。
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教室 [発達障害のこと]

朝日新聞(朝刊)の1面に「特別支援学校生、急増」という文字があった。すなわち、昔の養護学校の生徒が増えているという。しかし、よく読むとどうやら発達障害や不登校の子が増えているらしい。

また、富山市内では「今年度は普通学校のなかの特別支援学級の生徒が倍増した」と聞く。

いずれの事象からも、こどもの特性に合う教育機会を、普通学校の普通級という枠にとらわれないで模索する親の動揺が感じとれる。つまり、“安心できる場所”を求めている。言い換えれば、今や普通学校の普通級は、障害をもつ子の将来にとって“安心できる場所”ではなくなってきている。

なぜならば、中学・高校は心身の発達において飛躍的に成長するが危険も伴う時期でもあるからだ。

また、就労を考えれば働く準備期間である。例えば、集団に馴染めるか否かは人間関係をつくれるか否かを決める。また、自発性があるか否かは職業選択の必要性の自覚があるか否かに繋がる[猫]
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周遊 [発達障害のこと]

4月2日は、国連の世界自閉症啓発デー。
2日~8日は、世界自閉症啓発デー・日本実行委員会の発達障害啓発週間。

私は、4日、富山のイベントに参加しました。
当事者、保護者、支援者など30名程集まりました。

090404_1103~01.jpg
午前9時半に富山駅北口に集合、受付。10時、ポートラム(路面電車)に乗り富山駅を出発。富山湾に面する岩瀬海岸まで行きました。次は、バスで県営フェリー(写真参照)乗り場へ行き、上船。今度は、高岡のポートラムに乗り継ぎ、終点の高岡駅まで行きました。約2時間の富山~高岡を結ぶ周遊ツアーでした。

天気にも恵まれ、とても気持ちよくて楽しかったです。普段だとJR北陸本線で富山~高岡間は約20分で行き来します。しかし、2時間かけて海沿いを公共交通で移動する旅は、今まで、みたこともきたこともない場所を通るのでとても新鮮でした。

主催者、スタッフのみなさまご苦労様でした。ありがとうございました[猫]
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純粋 [発達障害のこと]

ふしぎトーボくん (1) (集英社文庫―コミック版)『キャプテン』『プレイボール』の漫画家ちばあきおさんの『ふしぎトーボくん』。

主人公のトーボは、いわゆる“へんなやつ”です。
その変さ具合が私には「発達障害」にみえます。

聴覚過敏、ひとの気持ちが読めないとこ、木の葉脈など細かい部分に興味をもつとこ…。そして、何よりも人とつきあえないとこ…。

この異色な漫画は、トーボくんが児童保護施設から帰るところから始まり、戻るところで終わりです。人間の「複雑さ」に適合できず孤立し自分のカラに閉じこもる、今でいう不登校・ひきこもり物語です。

この作品は1981年、つまり今から約27年前から連載されました。

私はちばあきおさんも「発達障害」だったのではないかと思っています。なぜなら、見た目では分からない「発達障害」の生きる困難さを描けるのは、当事者かその身内でないと無理だからです。ちなみに、原作は実弟です。たぶん、兄の「発達障害」の特性をヒントにしたのだと思います。

見た目は普通と変わらないがゆえの誤解と闘うトーボくんの純粋さが読む者の心を打ちます[猫]
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努力 [発達障害のこと]

私たち、発達障害と生きてます―出会い、そして再生へ努力には、二種類ある。

「否定的努力」と「肯定的努力」。

「否定的努力」はしてはいけない。「肯定的努力」はしてもよい。

『私たち、発達障害と生きてます―出会い、そして再生へ』からの引用
(2008年12月 ぶどう社)
「否定的努力」とは、周囲の人々に受け入れられようと思って、自らの本来のあり方を否定するような努力を積み重ねていくことを言う。(P110)
例として、“自分ひとりでいる時間”が大好きな発達障害(軽度の自閉症)の小学生M君をみてみる。

M君は、他人と一緒にいるよりひとりでいる方が好きである。M君の優先順位の第1位は“自分ひとりでいる時間”である。

しかし、定型発達の友だち、つまり普通のこどもにはそれが理解できない。こどもだけでなく周りの大人、親でさえもなかなか理解できない。友だちは「遊ぼう」と誘う。M君は誘われたり、一緒に遊ぶのが嫌ではない。しかも、それはそれで楽しいし、求めてもいる。

それゆえ、M君は友だちと遊ぶことが嫌そうでない。だから、友だちもM君が楽しいんだろうと思う。しかし、M君は内心、家でひとりっきりで遊びたい。実際、家に着くと一目散に自室に駆け込み、自分の好きなことに興じる。まるで、それで帳尻を合わせるかのように。

けれども、M君は《友だちと遊ぶ時間>“自分ひとりでいる時間”》となるある臨界点を超えるとバランスを崩す。次第に友だちにみせるカモフラージュがM君に負担となる。そういう時間が苦痛となる。その小さな苦痛の積み重ねは、M君のこころの疲れや傷を少しずつ増していく。

つまり、M君のなかでは、回りの目を気にする努力を積み重ねることで自己否定に陥るということが起こっている。さらに、M君が頑張って普通のふりをして認めらるようになればなるほど、M君は自分自身が否定されていると被害的に思い込む。それはやがて虚無感を生み、生きる意欲を削いでいく。

このような否定的努力は間違っている。だから、しない方がよい。むしろ、してはいけない。

また、M君は自分のこの常識外の一緒に遊びたくない理由をうまく伝えられない。同時に、友だちに嫌われたくもない。M君は自己矛盾を抱える。これは辛い。この辛さや困難さがまた自分はダメだという否定的体験となる。ここでもまた生きる意欲を削いでいく。

このように、M君の“自分ひとりでいる時間”に対する過剰なこだわりが、対人関係で不具合を生み、ボロボロになる。

努力や頑張りをすればするほど自己否定に陥る。何とも皮肉な結果を生む。

これを解消するには、M君だけでは無理である。周りの理解が不可欠である。この常識外の世界を、多元的な世界を理解する努力が必要である。身内であれば自助努力だ。しかし、第三者にとっては必要がない。またそんな余裕もない。必要ないとすればそれっきりである。なぜなら、関係をもたなければそれで済むから。

その一方で、M君はM君で肯定的努力をするべきである。すなわち、“自分ひとりでいる時間”に対する過剰なこだわりを薄くすること。それと、自分自身の損益分岐点(自分にとって損か得かの判断基準)を知り、誘いを断ることを覚え、無理せず折り合いをつける技術を身につけることである。

そうすることで、社会性を獲得していくことができる。これは肯定的努力であり、正しい努力である。
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裏表 [発達障害のこと]

再び、現代のエスプリ12月号 『【内なる目】としてのメタ認知』
-自閉症児の“場のよみ”にはいかなるメタ認知が働いているか(P142~151)-を読んで思ふ。

面食らうほど正直”、“まったくずるいところがない”ひとほど、うまく働けない。それは、ひととひととの間で生きていく上での、裏と表の使い分けの困難さの障害だと私は思う。

では、「他者の裏をかく」とはどういうことか? あるいは、「嘘をつく」や「騙す」とはどういうことか?

それは、他者に思わせたい内容を、あるふりをして、自分が思わせたい方向へふるまうことである。言い換えれば、他者の意図を推測して表象を調整する活動である。

具体的には①本当と違うことを伝える②本当なのに違うことを伝えるの2つを駆使して演じることだ。これは、机上よりは身体上のスキルが必要である。つまり、身体知といわれるものである。

また、机上では自分自身が埋め込まれていないので自分のふるまいを調整する必要がない。しかし、日常の文脈では自分自身が埋め込まれているために自分のふるまいを調整する必要がある。

社会に適応できるということは、他者や状況に合わせて自分の身体の動きを調整できることである。しかし、そこにタイミングのズレが生じる。その修正は身体レベルの動きの共同性を鍛えることだ。

その方法として、《トイレットペーパーデリバリー》や《名役者は誰だゲーム》が有効らしい。

ちなみに、「とんねるずの食わず嫌い王」などはとてもよい訓練方法だと私は思う。なぜなら、大好きなものを嫌いなもの、嫌いなものを大好きなように演じながら食べたり、その裏をかいて、好きなものを好きなもの、嫌いなものを嫌いもののように演じながら食べたりして他者を騙す遊びだからである。

そこには他者の心理状態を知る、自分がどのように相手に映るかを知るなどの他者性や内向きではなく外に開かれた状況や場の流れをよむ働きが求められる。

【おまけ】社会に出ると「嘘」と「冗談」と「皮肉」の概念とそれぞれを区別できる力が求められるヨ[猫]
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発話 [発達障害のこと]

前の記事に引き続き…メタ認知について
1980年代の後半から社会的文脈の中での、他者や状況に開かれた関係性の中で機能するメタ認知研究が増加し始める。(略)その文脈でのメタ認知の働きは、(略)個人を超えたその場に参加するものの全体の状況を、一歩離れたところから鳥瞰的視点を働かせながら省察し、必要に応じて、全体の動きを方向づけるといった複眼的思考からのメタ認知機能が求められる。(P11)下線、私。
私は、発達障害の方の就労支援を背景としながら、この論文を読んでいる。発達障害者は、場の展開を読み取る・他者の思考状態を省察する・(場合によっては)自己の思考状態を省察することに困難を抱えている。それらは、脳の機能障害として、現在のところを医学的に説明されている。

複眼的思考を支えるひとつの具体例にメタ認知的発話があるという。
議論の場では、「あの~」「う~ん」「え~と」「でも」「だけど」といった“問いかけ”“迷い”“躊躇”“逆説的”な発話が頻繁に見られるが、その機能には少なくとも2つの機能が考えられる。(P11)
①(談話)連結詞…発話と発話を繋ぎ合わせ談話の流れを作っていく機能
②反論・疑問・葛藤の表明…他者、自己の発話に対して明確化を試みようとする機能
メタ認知的発話は、もともとそれ自体が何か特定の意味をもっていたわけではなく、他者とのやりとりという文脈の中で立ち現れてくるものであり、話者の心の状態や判断の微妙な意味を伝えたり、新しい視点やアイデアを模索したり、思考を整理したりしている状態や状況を表出する発話であり、他者との関係の文脈の中で初めて意味を持ってくるものである。(略)この発話によって、議論の場に参加している者は、考えの明確化、前提の問い直し、新たな根拠や理由の探索、考える範囲の見直しなどがもとめられ、それにより、今考えるべき思考の対象や流れを把握することができるし、そこに自ずと秩序も生まれてくる。このように他者・状況に開かれた文脈で機能する適応的なメタ認知は、自己の閉じた確固たるシステムではなく、他者や状況との間に分かち持つ分散システムとして機能する。
いわゆる雑談の効用である。キャリアカウンセリングの場面でも、クライアントが「あの~」「う~ん」「え~と」「でも」「だけど」といったことばを発することがよくある。また、あるカウンセラーによれば、クライアントがそのようなことばを発するカウンセリングはサービスが高いという。

つまり、うまくことばにできないことをクライアント自身が上記の①または②で懸命に補っている状態である。そして、ことばにできないことをカウンセラーとともに、ことばにしていくプロセスがカウンセリングである。だから、いわゆる「傾聴」も、クライアントの発話を促すためのものである。

考えてみれば、このようなことは発達障害の社会性獲得の訓練のひとつであるが、健常者にも同じことがいえる。例えば、複数のひとが集まってブレーンストーミングをしたり、打合せをしたりするのは、<新しい視点やアイデアの模索><思考の整理・考えの明確化><前提の問い直し><新たな根拠や理由の探索><考える範囲の見直し>など、今考えるべき思考の対象や流れをつくっているのである[猫]
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課題 [発達障害のこと]

今日の朝日新聞朝刊に“発達障害とともに 英国編(成人期)”の記事があった。私なりの要約。

<英国の自閉症協会の二つのプログラム>
①プロスペクツ…相談、訓練、職探し。雇用側への労働環境の整備や研修およびコンサルタント。
②アシスト…平日午後7時。18~46歳の約20人が社会的な振る舞いを“ものまね”で学ぶ講座。

<この支援によるメリット>
①納税が増え、国に利益になる。
②発達障害者への環境調整の方法は他の社員にも役立ち、会社の利益になる。

しかし、現実は、英国でも、広汎性発達障害の常勤就労率は15%。
広汎性発達障害の成人のうち61%が家族に経済的に依存している。

記者は、「英国でも成人支援はこれからだ。」と書いている。
結局、未熟というか、ほとんど未開の状態ということだろうか。

日本においても発達障害は5~6年前から国の重要課題だ。
しかし、どうも、この課題は、“長い目”で見ながら、時間をかけて取り組むべきもののようだ[猫]
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誤認 [発達障害のこと]

自閉っ子は必ず成長する』(腹巻智子著 花風社 浅見淳子参加)P10・11より

浅見氏
…発達障害に関しては、一つ大きな問題がありますね。それは当事者の方々の特性の一つに“コミュニケーション障害”があることです。だからこそ当事者から「何をしてほしいのか」発信しにくい。一見発信したように見えても、実は的をはずしていることもある。とくに自閉圏の方の支援の際には、「本人たちの自分のニーズになかなかたどりつかない」ことを計算にいれておかなくてはいけないように思うんです。

(盛田の解釈)
“コミュニケーション障害”とは、この場合ことばのやりとりの質的な不自然さのこと。たとえば、問いと答えのズレ。このズレがあるために当事者はしゃべりたくない。しゃべっても、相手に伝えられない。しかも、自分の思いや気持ちに気づきにくい。と、このような困難さを抱えている(ということか)。

腹巻氏
…(それは)言葉の概念化にも問題があるし、全体像を俯瞰して見る“メタ認知”にも問題があるため、本人たちが困難や問題だと感じることがあったとしても、状況の把握の仕方が客観的な事実と異なっているということもよくあります。

(盛田の解釈)
現存するモノゴトと視覚化されないことばを結び繋げる機能や、モノゴトを全体のなかで位置づけたり前後の流れのなかで関連づけたりする機能が働かないために、当事者がしゃべっていることと事実とまったく違うことがよくある(ということか)。

腹巻氏
話をする相手の自閉症の人のコミュニケーションの特性とスキルをよく把握した上で、表現された内容と事実を照らしたり、本人の脳機能の特性によって発生しているであろうカンチガイや事実誤認を一つひとつ明らかにして情報を整理したり、事実の客観化の手伝いをしながら聞き取っていく必要があります。支援者にはそのスキルが求められるといえます。

(盛田の感想)
「支援者にはそのスキルが求められる」とキッパリ言われると、発達障害の若者の就労支援は一般的なキャリアカウンセリングのスキルだけではとうてい太刀打ちできるわけはないであろうぞい…[ふらふら]
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検査 [発達障害のこと]

仕事柄、いろんな検査(アセスメント)をしたり、その結果をみたりする。たとえば、日本版WISCⅢ。それをみていると…

人には、ある情報を入力して、言葉で返す場合と行動で返す場合の二つある。前者を言語性といい、後者を動作性といい、数値で表している。

また、入力は主にきく(耳)みる(目)がある。ただし、これに注意と記憶が、さらに知識と理解の度合いが変数として加わる。これらの要素に分解したり、総合したりする。そこから、その言語性や動作性の原因を推測する。そして、支援の手がかりや優先順位を得る[猫]しかし、これがなかなか…。
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躓き [発達障害のこと]

私は、広汎性発達障害の人の成長の過程には3つハードルがあると考えている。
①家族
②友達
③就職

そして、この3つに通底するのが人との関わり方である。もともと、発達障害の人は自閉症とも関連しているので、自分から人とのかかわりを強く求めるタイプではない。そのため、経験不足によるかかわりのスキルの未学習、誤学習があると考えられる。つまり、その場に応じて必要なスキルを身につけることことがもともと無理なうえに、その機会も少なくなる二重構造を抱えている。

昨今、その補完のために、それを一つ一つ言葉で丁寧に説明して身につけさせる学習機会が増えつつある。その一例が、ソーシャルストーリーである。これは、実際小学校の特別支援教育などで行われている。簡単にいえば絵や言葉など視覚的な情報を手がかりにして、「こういうときはこうしようね」という常識や社交性を理解させ身につけさせる方法だ。

一方、学校は友達関係を構築する絶好の場所である。①=家族から③=就職へ移行するには、そのあいだに②=友達関係というバイパスが介在しないとどうしても難しい。ところが、学校の第一義は、知識を得て、理解力を鍛えることである。本来、社会に出て必要な常識や社交性を身につけるのは第二義的であり、それはもっぱら友達関係であり、しかも主体性に委ねられている。いいかえれば、放課後や休み時間をより楽しく過ごせることが社会で必要なスキルを高める。逆をいえば、ここで得られるはずのスキルが低いと次の就職が難しくなる。ここで躓く人は少なくない。

最終ゴールを、ひとつの場所である程度長く働くできることとするならば、家族の理解や協力、次に友達との交わりとその関係から常識や社交性を学びことが前提である。したがって、当事者を見守る家族や支援者は友達関係を作る芽を摘まないよう、少しずつその芽が育つよう環境を整えることが仕事になる。
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特性 [発達障害のこと]

今日の朝日新聞朝刊の「発達障害とともに(下)」に岐阜大医学部の高岡健先生が

①「発達障害は、脳の機能障害が原因とされますが、社会構造の変化の過程であぶり出されてきた側面があるのではないか。」

②「発達障害の人は、自分の得手不得手など特徴を把握し、職場で伝えられるようにならなければいけない。」

と書いておられた。

①は、私もそう思う。昔はちょっと変わった人が身近にいた。けど、そういう人も職につくことができたし、そういう人を見る目もおおらかだった。高岡先生も書いておられるが、産業構造の変化によって対人関係が必要な仕事が増えてきたのだと思う。私は、定量的に加えて、定性的にも高度な対人関係が求められるようになってきていると思う。

②も、私もそう思う。今のところ障害者雇用の制度では特定子会社が今一番いいと思う。このように、最近では求人側、つまり企業側の歩み寄りが見られる。しかし、求職側、つまり当事者側にもできることはあると思う。厳しいかもしれないが発達障害をもつ人も可能な限り歩み寄るよう努力するべきだと思う。それは何かというと、自分の特性を理解することである。すなわち、障害を辞書から引用してなんとなくそうじゃないかと話すのではなく、自分の言葉で、できるだけ詳しく自信をもって話せるようにすることが必要だと思う。ただ、それはひとりでは無理だろうから、キャリアカウンセラーやジョブコーチのような人の支援を得るなどして行うのが良いと思う。
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発達 [発達障害のこと]

十人十色なカエルの子―特別なやり方が必要な子どもたちの理解のために発達障害のことがわかりやすく書いてありました。こどもにもわかるようになっていると思います。当事者本人だけでなく、回りのともだちも読むといいなと思いました。

P28・P29より
「そう、自分が楽しいからといって、ともだちも楽しいとはかぎらない。自分がおこることに、ともだちがおこるとはかぎらない。自分と同じ“気持ち”を、ともだちも持っているとはかぎらない。こういうことも、お勉強。」

発達障害をかかえる人は、他の人の気持ちを推しはかることができにくい人が多いです。自分と同じような気持ちを他の人ももっていると思いがちです。それによって、回りを嫌な気持ちにさせたり、疲れさせたりしてしまうことがあります。

特に、小学校高学年はともだちとの関係の芽が出始める時期です。とても大切な時期です。しかし、ここでつまずいてしまう子もいるそうです。

私はいい歳ですが、こういうところはまだまだお勉強しないといけないなあと感じさせられました。自分の思う、考えることが他の人におこる、又はおこっていると考えがちです。しかし実際は全然そうではない。むしろ、自分とは違う思いや考えがおこっている。

また、対人関係が苦手で、心配性の人、人の目が過剰に気になる人、神経質な人、神経症ぎみの人は、自分の思う、考えることが相手におこっていると思いこんでいる。そういう場合をよくみかける。しかし、実際は全然そうじゃない。それがわからない。そう思えないところがある。

私も含めて、そういう人は、自分と同じ“気持ち”を相手が持っているとはかぎらないと考えましょう。その方が楽で自然じゃないかい[猫]
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したい [発達障害のこと]

発達障害(またはその疑いのあるも含め)の人も、10歳を過ぎると自主性や主体性を発揮したいという気持ちが芽生え始める。しかし、障害故のぎこちなさ(例えば、状況を読めない、相手の気持ちがわからない)で、せっかくのその気持ちを表現するのに躊躇してしまうようだ。

つまり、したい<できるかどうかを先に考える。

普通は「したい=する」だが、「したい=けど、できるかな?」となり、「できないかも=しない」となり、結局「したい=しない」に落ち着く。だから、自分からコミュニケーションができない。

例えば、「まぜて」といえばすんでしまうところを、「まぜて」っていえるかどうかで逡巡してしまう。

したがって、「したい」を①番、「できる」を②番という風になってくれればコミュニケーションの問題も解決するのではないだろうか?

ソーシャル・ストーリー・ブック―書き方と文例
とはいうものの、それには学習が必要である。状況や場面に応じた相応しい声がけや行動をひとつひとつ憶えていく必要がある。

それには“ソーシャルストーリー”という手段がある。
そのノウハウを紹介している本もある。

でも、おそらく普通は本を読んだだけではなかなかできない[もうやだ~(悲しい顔)]
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3つの閉じた輪 [発達障害のこと]

発達障害の特性は、「社会性の障害」、「コミュニケーションの障害」、「想像性の障害」とよばれる。この三つは“三つ組み”とよばれる。この組み合せで障害をみると特性理解の助けになる。

しかし、なかなかうまくいかないこともある。そういうとき、以下の“3つの閉じた輪”でみていくとどうだろう。

1,何をみて

実体のない(みえない・きこえない・しらない・体験していない)ものは、(認知し)ない。例えば、人に対しての場合は、みえている働き(機能)だけ。それ以外はない。

2,どう感じ

ひとつは特異な感覚の過敏さ。それによる注意の偏り。建設的な選択的注意が困難。逆に、実体のある(みえる・きこえる・しっている・体験した)ものはズシリと受けとめる。例えば、人のいうことを真に受ける、素直に聞きすぎる、聞き流せないなど。もうひとつは身体機能の困難さ。それに注意が向かうと感じ取れる範囲はさらに限定される。

3,どう思い

手順を踏んだ理論付けで納得する。言葉で説明できないことがあると不安。なので、理由や根拠をもとめる。しかし、実感(感情・愛情・気分・意思・願望)は伴わない。頭だけの(ような)知識が蓄積。


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隠れた障害と隠れた不安をもつ人たち [発達障害のこと]

「AS(アスペルガー症候群)は、自閉症に共通するところの多い障害です。ASの人たちの外見や声には異常はありませんが、社会的な状況を読み取ったりその場の状況にかなった会話をすることが困難です。ASの人たちは、礼儀知らずでぶしつけで横柄に見えるでしょうし、奇妙で風変わりで何を考えているか分からないようなふるまいをするかもしれません。

ASの人たちは、生涯に渡って困難をきたします。知能も、平均的なところから天才と言われる非常に高い人までさまざまです。決して悪意はありませんので、辛抱してお付き合いください。」

『アスペルガー症候群の子育て200のヒント』ブレンダ・ボイド著 落合みどり訳 東京書籍 P45


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課題に注意を向けるためのテクニック [発達障害のこと]

公式「AをしたらBをする」

例えば、やらなければいけないこと(A)をしたら、好きなこと(B)をしてもいい。

具体例 「家の庭の草むしり(A)をしたら、好きな読書(B)をしてもいい。」というふうに…。

もっと具体的にすると、「草むしりを20分やったら、読書60分しよう。」とか…。

ポイントは、「草むしり」が条件ということではなく、時間の前後関係だけを意味していること。

しかも、やらなければいけないこと(A)が先にあることがポイントかな?

早速、実行してみよう~


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仮に、ことばの意味を規定してみると(メモ) [発達障害のこと]

<意味規定>

欠点…正面から取り組むことで改善されるもの

障害…正面から取り組んでも改善されない、あるいは改善されたとしても非常に効率が悪いもの

<意味規定(ただし仮説)>

適用…社会的圧力から離れて、自分の独立した判断で自由に行動すること

適応…社会的圧力に不本意ながら従い行動すること

※適用・適応の区別については、あくまでも仮説。自分でも「どうかなぁ」と思っていたりして…

<二つの組合せ>

適応障害…社会的圧力に不本意ながら従い行動することに、正面から取り組んでも改善されない、あるいは改善されたとしても非常に効率が悪いもの

ってなるのかな…


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たのしいこだわりを正しいこだわりにするには? [発達障害のこと]

「こだわりが強い」ことは、本人が充実した時間を過ごすことでもあり、悪いことではありません。しかし、本人の心身や、家庭生活、職業生活に支障がでると、こだわりとの折り合いが大切です。

「こだわりが強い」ということは、「きりかえが悪い」とも考えられます。つまり、きりかえる力が弱いために、いつも同じことや同じ活動をしようとしたり、興味・関心がある特定のものに限られてしまうと推測できます。

では、この「きりかえが悪い」傾向を減らし、きりかえをうまくするにはどうしたらいいのでしょうか?

それには、同じことをするにも、①時間②空間③内容④手順を意識的に変えてやってみることが有効ではないかと考えました。例えば、些細なことでは通勤する道順をかえる。誰かと食事する。また、敢えて別のことをする。分かりやすいことでは、旅行をする。やったことのないスポーツをする。など…。

その際に、それまでのこだわりも一旦切り離すことが大切です。でも、大変ですね。


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そのことばがけが入らないのはなぜか? [発達障害のこと]

双方向性のコミュニケーションの機能不全は、“他に何かしている(他に考えごとをしているなども含む)ことによって、そのことばがけが入らない”ことによっておこる場合がある。

しかし、どのようなときそのようなことが起こるのか?

①同時に多くのことを処理するとき

多くの情報があることが、処理困難をまねきやすい。

②あいまいさを多く含むとき

例えば、モノよりもヒトに対して起こりやすい。なぜなら、モノは明瞭な存在。ヒトは不明瞭な存在。特に、ヒトの注意、意図、動機、感情などは多くの「不明瞭さ」「多義さ」を含む。つまり、このような刺激は常に新しく、予測困難で、わかりにくいものである。だから、処理可能限度を超え、処理困難になり、刺激過剰の状態になり、嫌悪を感じやすくなる。

③こだわりが強く、そこから離れることがむずかしいとき

人には「同じであること、変わらないこと」で安定したいという願望がある。つまり、不安定さに対し、抵抗や嫌悪を感じる。そのため、注意を同一的かつ限定的な部分に向ける傾向がある。しかし、あまりにも固執しすぎると、新しいことや変化に応じられない。


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