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批判に対応する効果的なスキルを示すこと [キャリアカウンセリング]

 全米キャリア・デベロップメント・ガイドライン-能力および指標 幼稚園から成人まで-(1996)は、キャリア発達のそれぞれの段階に必要な能力を列挙している。例えば、中学生は「仕事と学習の関係を理解する」などの12の能力がある。
 私は、現在、主に働きたくても働けない若者のカウンセリングをしている。その経験から、中学生の段階で育成が必要だと感じる能力が「他人とポジティブにやりとりするスキル」であり、特にそのなかの「批判に対応する効果的なスキルを示すことができる」力だと思う。
 なぜならば、働きたくても働けない若者に、他人の批判に対して「効果的なスキルを示す」(=反論できる)能力のある人が少ないように思うからだ。批判は誰もがいつでも受けるのが当然だと考えた方が自然であり現実的だと思う。しかし、そう思えない若者が少なからずいる。そのことと働けない状態にあることが相関関係にあるように感じる。
 実は、批判は否定とイコールではない。批判は、結論として否定するとは限らない。肯定することもある。むしろ肯定的批判が重要である。例えば、わからないことや説明不足だと思うことを質問することは立派な批判の一つだし、おかしいと感じるところや論理的に弱いと思うところを指摘することも批判である。
 こういう批判にわが身をさらすことは苦痛だ。しかし、そうして成長していくものではないだろうか。特に若いうちは周囲の批判を受けることが多い。それでも、ひ弱ながら反論しつつ、自分の意見を現実に適応させ高めていくものだろう。それは、大人という他人との共同作業とも言える。
 働きたくても働けない若者はそういう場面を大の苦手としている。そういう場面はできるだけ回避する傾向がある。それは、まさに「批判に対応する効果的なスキルを示すことができる」力が弱いからではないだろうか。ではなぜ弱いのか? まずは「批判」の意味を正しく理解していないこと。次に批判に対応するスキルを教えてもらっていないことがその理由である。
 また、なによりこの批判の能力は自分に対して批判する能力でもある。これが弱いと当然自分で自分の考えに対して批判ができない。つまり自分で自分の考えを効果的に高めていくことができない。


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