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キャリアカウンセリングの支援の限界と行動範囲 [キャリアカウンセリング]

 昨日(11月18日)、NPO法人日本キャリア開発協会の研修に富山から大阪まで行って来ました。講師は、臨床心理士の大野英一先生。講演1時間。事例研究2件3時間という構成でした。

 大野先生によると、働く人の63%がなんらかの精神的な疲れを感じ、35%が慢性的(3ヶ月以上)な気分の落ち込みなどの症状を呈している(こころの病気の予備軍)そうです。

 このような状況で、キャリアカウンセラーとしてどこまでクライアントに介入すべきかを考えました。

 結論は、キャリアカウンセラーはメンタル面の問題を抱えたクライアントに、社会との橋渡しをするのが役割ということでした。つまり、クライアント本人自身もできない、その家族でもできない、お医者さんもできないそういう部分に介入していく部分が仕事だということです。

 実は、キャリアカウンセラーという職業は、精神科医、心療内科医、臨床心理士、産業カウンセラーとは違います。それは、メンタル面の不調が認められるクライアントに対して治療行為やそれに類する行為は社会的に求められてはいませんし、してはいけないことになっています。なぜならば、そのような場合は、早期対応が早期回復を最優先するからです。メンタルな部分でキャリアカウンセラーで時間を費やすよりメンタルの専門家に任せるべきだという考え方が常識となっています。だから、キャリアカウンセラーは、メンタル面で問題を抱えたクライアントはメンタルの専門家へリファー(引き渡し)することになります。

 しかし、現実は私のクライアントの半分くらいがなんらかのメンタルな問題を抱えています。また、メンタルの専門家から「調子が回復してきたから、そろそろ仕事に就くことを考えてみたら」ということで逆にリファーされてくる場合が多いです。

 ただし、キャリアカウンセラーとしてはあくまでもメンタルとキャリアの区分けをして対処することになります。なぜなら、メンタル面の治療はキャリアカウンセラーの力量を超えてると考えられているからです。けれども、メンタル面に何もしない訳ではありません。また、そこに厳格な基準が存在するわけでもありません。だから、例えば、認知療法のいわゆるABC理論による積極的介入はします。しかし、認知行動療法は私はしません。

 したがって、メンタルの専門家の話を聞きながらの共同作業になります。だから、メンタル専門家や関連機関との連携のなかでキャリアカウンセラーとしての固有の役割を果たすことになります。

 大野先生の意見ですが、本人の希望や了解があれば、守秘義務を守る範囲内で、キャリアカウンセラーとして実際的な言動を行ってもいいし行うべきではないか。たとえば、事業主なり、人事なり、所属長なり、窓口担当者なりと本人の間に立って調整する。そうしながら、キャリアカウンセラーとしての社会的信用や立場を勝ち取っていく。それがキャリアカウンセラーの行動範囲であるということでした。

 他方、メンタルの専門家は、キャリアの面、つまり仕事や職業に関わるところで対応することはキャリアカウンセラーの力量には及ばない場合が多いように感じました。だから、キャリアカウンセラーしかできないこともあるわけです。そこの穴を埋めていく作業をするわけです。


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