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実際的結論と心理的結論 [カウンセリング理論]

河合隼雄『カウンセリング入門』P194より

「これは非常に大事なことなんですが、結論というのは二つある。実際的結論は、この際は「結婚しない」ということです。ところが心理的結論はでていないわけです。実際的には結婚してはだめだということが、はっきりわかっている。ところがわかっているのにどうして相談に来たかと言うと、心にモヤモヤとしたものが溜まっているからです。(中略)結婚できないという事実は事実ですけれども、その事実に向かってこの人はどう生きていくかという問題は、これから始まる問題です。」

この前には、結婚相談が事例としてあげられている。相談といっても実際的には結婚できないということ、つまり結論が出ている。だからカウンセリングは終わりかというと、そうではない。結論というのには二つある。それが実際的な結論と心理的な結論である。現実的には結論は出ているけれども、心理的にはその事実とどう向き合うかという問題が残っていて、しかもそれがカウンセリングの始まりである。ということではないだろうか。

キャリアカウンセリングにおいても、実際的な結論、たとえばA社に面接に行く、そしてたぶん採用されるだろうとわかっている場合でも、実際的な判断が心理的な結論についていっていないということがよくある。つまり、心理的結論がでないままに実際的な結論が先行している。そういう場合は、本人が面接で辞退してくることもあったり、入社して1日で辞めてきたり、しばらく勤める内に心理的な結論を自分の力で解決していったりいろいろある。だから、実際的結論と心理的結論が解決されてから面接にのぞむのに越したことはないが、必ずしもそうではない。

ただ、カウンセラーの見方として、実際的結論と心理的結論がどうなっているかという見方をすることがとても大事だと思った(のでした)。

河合隼雄のカウンセリング入門―実技指導をとおして

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