経済とは何か? 「経済」とは「ただ循環すること」である [読書した履歴]
『乱世を生きる 市場原理は嘘かもしれない』橋本治(集英社新書)2005年11月
私は、大学で経済学を学びました。特に、当時「マル経(注)」と言われていた分野です。ゼミは出ました。しかし授業にはほどんど出ていません。でも、ケインズとフリードマンの名前は耳にしました。
先日(11月16日)フリードマンが94歳でなくなられました。それが本書を読むきっかけです。
今思えば、マルクス、ケインズ、フリードマンのうち、好きか嫌いとか、感覚的に合うかどうかで学生はゼミを決めていたのかもしれません。ただし、「経済」について関心があることは共通していました。
では、その「経済」とは何か?
「経済とはただ循環すること」が本書の答えです。これは、「経済とは利潤を得ること」の否定です。
日本のそれは、国家あるいは官僚が主導するのが当然であるという考え方が根強くあります。事実、財務省(旧大蔵省)の東大出身者が日本の経済を指導してきたとも言えるようです。
だから、その時々の経済学者で著名な人の理論を学ぶ方が当たり前で、それが当たり前のように国の経済政策に反映されたように見えます。
25年前、1980頃はどうだったか? つまり、私が学生をしていた頃は、マルクスはとっくに終わっていました。ケインズも今ひとつパッとしない時期でした。しかし、フリードマンはなんだかよくわからないけれども勢いがあったような気がします。
以下は、年代と経済学者と経済原理と経済政策を簡単に列挙してみました。
1960以前 マルクス
1960以降 ケインズ…有効需要原理→公共投資
1980以降 フリードマン…市場優先主義→個人消費
1990年頃 バブル崩壊
そして今はどうか? 著者は今は「どうしたらいいか分からない」すなわち「“どうあるべきか? ”を自分で考えなけれればいけない時期」と言います。つまり、指導者や支配者に「経済」をやらせていた時代の終わり、と言います。
また、続けて「だからと言って、楽になったわけではありません。それは嬉しいことである前に、とんでもなくしんどいことで、どうしたらいいかわからないをみんなで分け合うことです。」と言います。
なるほど。著者の言うとおりだ。
ところでしかし、大学でマルクス経済学を学んだ私って? 一体何者?
(注)私は純粋にマルクスの経済学をやりたかった。だから、アダムスミスやJ.S.ミルも学んだ。
けれども、マルクスの主義や思想、右とか左とかにはまったく関心なかった。
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