カウンセラーの条件 [キャリアカウンセリング]
カウンセラーに求められる基本的な姿勢・態度に、
①無条件の肯定的関心
②共感的理解
③自己一致
の三つがある。①、②はわかっていたが、③がなかなか難しい。
③の自己一致とは…
「カウンセラーはクライアントとの関係において、カウンセラーもありのままの自分、本当の自分を大切にし、カウンセリングのなかで相互にいきいきした人間関係をむずぶことが大切である。」 『キャリアカウンセリング』 宮城まり子著 駿河台出版社 2002年発行 P121より
つまり、カウンセラーはありのままの自分を大切にする必要がある。しかし、私は下記の文章を読んで間違って理解していた。
「カウンセラーはクライアントとの関係において、クライアントが認識している現実と一致して誠実でなければなりません。(中略)2人の間の生き生きとした人間関係が大切なのです。」 『キャリアカウンセラー養成講座テキスト3』 日本マンパワー発行 P9より
私は、これを「カウンセラーは、クライアントが認識している現実をクライアントと同じように認識しなければいけない」というふうに理解していた。つまり、②の共感的理解と同じようなことだと理解していた。だから、実際は私は①無条件の肯定的関心と②共感的理解だけでこれまでやってきたようなものである。
しかし、自己一致とはクライアントの自己一致ではない。③自己一致はカウンセラーのことであり、カウンセラーに求められている。
「治療者(=カウンセラー)が自分の気持ちに素直になり、それをクライアントに伝えることが<自己一致>である。」 『森田療法と心の自然治癒力』 増野肇著 白揚社 2001年発行
では、カウンセラーが“ありのままの自分を大切にする”や“自分の気持ちに素直になる”とはどういうことか。
カウンセラーはクライアントから話を聴く。話は相談だから、当然悩みや心配事などである。だから、いわゆる「よい」話ではない。普通はあまり聞きたくないこじれた話や聞いても不快な思いをする話だったりする。しかし、カウンセラーはそういう話を一生懸命に傾聴する。傾聴すると、クライアントと同じように、いろいろな気持ちがおこる。たとえば、悲しい気持ち、やるせない気持ち、不安な気持ちになることもある。逆に、楽しい気持ち、うれしい気持ち、よろこばしい気持ちにもなる。
ちなみに、人間の脳にはミラーニューロンという神経回路がある。そのミラーニューロンは、知覚したことを自分が体験したのと同じように感じる部分らしい。ここが働くとクライアントの気持ちと同じ気持ちをカウンセラーがもつことになる。
カウンセラーは、それらの気持ちをどう扱えばよいのであろうか。
ここでは、カウンセラーはカウンセラーだから平静でいようとしすぎてはいけない。つまり、カウンセラー自身のなかにおこる気持ちを否定したり、取り除こうとしてはいけない。それをするとそれにとらわられる。それにとらわれると心身が消耗して疲れ切ってしまうだろう。
したがって、カウンセラーは「今、ここで、自分の気持ちがどうあるのか」に気づくことが大切だと言われる。自分の気持ちに注意を傾ける訓練が必要である。私の経験だと、「あ~、自分は今、悲しい気持ちになってるなあ~」とか、「あ~、今、気持ちは、よろこんでるなあ~」と感じることがある。
このようにして自分の気持ちを意識的に気づこうとして気づくことがある。そして、そういう気持ちの変化を眺める。眺めていると、大抵は波のようにみちたりひいたりする。それを何回か繰り返すうちに、やがて薄らいでいく。そうやって扱うように心がけている。しかし、実際はそううまくはいかない。だから、簡単ではない。だから、カウンセラーの条件を満たすのは大変である。
深い。
が、一回読んだだけでは完全には理解できない。
今度、電話で解説を願う。
by TOTO (2008-02-16 18:42)