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善悪 [読書した履歴]

14歳の君へ―どう考えどう生きるか『14歳の君へ』(池田晶子著 2006年12月 毎日新聞社)を読んだ。

著者の本をはじめて読んだ。
著者は2007年2月、46歳で亡くなった。
本書が出版されて約3ヶ月後のことである。

わたしは、あるクライアントから「自分の好きなことをするのは自分の自由だ、それがどうして悪いのか」と怒鳴られたことがある。同様のことを本書では…
「好きなことがなぜ悪い」と問うということは、逆に「好きなことがよいことだ」と思っているということだね。好きなことがよいこと、つまり「好き嫌い」と「善と悪」は同じものだということだ。(略)これを考えるためには、「よい」ということの意味を、やっぱり考えなければならないんだ。(略)(しかし、)善悪の問題は、本当に難しい。何がよいことで、何が悪いことか、わからなくなってしまうよね。だから善悪なんてものはなく、好き嫌いしかない、人は自分の好き嫌いに従って生きればいいと、人は言うようになるんだ。でもこれは間違いだ。だって、自分の好きなようにするそのことが、本当は自分にとってはよくないこと、悪いことかもしれないからだ。自分の好きなことが自分によいことだと思っているけど、本当は、自分にはとても悪いことかもしれないからだ。(略)人は誰も自分の好きなようにしかできないし、そしてそれが「よい」ことなのだと、何となく思っている。でもそれが本当によいことなのかどうかは、こんなふうに考えてみなければわからない。せっかく生まれてきたのだから、考えて、悪い人生ではなくてよい人生を生きたいと思わないか。(P92-95)
と、答える。

働くことは善、働かないことは悪。たぶん親や学校や世間は何となくそう思っている。わたしも然り。しかし、その一方で、実は「本当にそうだろうか」とわたしは思っている。著者は、善悪について…
さて、それは、何だろう。もしそれを知りたいと願うのなら、君は、考えなければならない。考えて、本当のことを知らなければならないんだ。(略)社会が決めた法律に善悪はない。そんなものは、自分の外にあるもの、変わるものだからだ。それなら、変わらない善悪はどこにあるか、もうわかるだろう。それは常に君の中にある。それについて知ろうと考えている君の心の中にあるんだ。誰かが決めてくれた善悪に従って生きるのは楽なことだ。だけど、そんなものは信じられない。だって、本当かどうかわからないからだ。だから君は、これからの人生、すごく大変なことだけれども、常に自分で考えなくちゃならない。このことは本当によいことか悪いことか。その時その時で、自分で判断して行動しなければならないんだ。でもそうするのではければ、どうして君が自由に生きるなんてことができるだろう!(P97)
働いていないひとが働くことを「よい」と考えている場合は、働くことを支援できる。しかし、働いていないひとが働いていないことを「よい」と考えている場合は、支援ができない。なぜなら、クライアントを中心に考えるとそうなるから。しかし、それで「よい」のか。わたしはそれを考える。

つまり、クライアントの「よい」ようにすることが本当はクライアントにとってよくないことであったり、悪いこともある。同じように、クライアントの「好き」なことが本当はクライアントにとってよくないこともある。

自由に生きるためには、すごく大変なことだけれども、常に考えて、その時その時で、自分で判断して行動しなければならない、と著者はいう。したがって、働いていないひとが働いていないことを「よい」と考えている場合でも、それが本当によいことか悪いことかを一緒に考えることはわたしにはできる。だから、そういう場合であっても、キャリアカウンセラーはかかわれないことはないと考える[猫]
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コメント 1

NO NAME

涙が出そうになりました。本書は、内容が濃すぎて、逆に読むのが苦しそう、そんな印象です。

「好きなことが良いこと」とは限らない。というのが、私の胸に響きました。
いくらお菓子が好きだからといって、お菓子ばかり食べていると病気になってしまうように、生きること(日々の行動)にもあるのでしょうね。
by NO NAME (2009-05-20 06:49) 

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